保険の申込みの際、告知書を提出すると、その内容によっては保険会社から「特別条件が付く」と言われるケースがあります。

いろいろな商品やプランをじっくり比較検討して契約するプランを決め、さまざまな手続き書類を記入して、ようやく契約できると思った矢先に保留されてしまうと、驚いてしまうかもしれません。

では、特別条件とはどんなもので、どんなときに付くのでしょうか? 特別条件が付いた際には、そのまま契約する方が良いのでしょうか?

特別条件とは?

保険会社が、申込みをした人の契約を引き受けるにあたって、通常とは異なる条件をつけることを「特別条件」といいます。告知の際に伝えた健康状態、既往歴、職業から、保険金や給付金を支払うリスクが高いと判断された場合に付けられます。

たとえば、同じ内容の通常の契約よりも保険料が割高になる、あるいは契約から一定期間内は、病気やケガで入院をしたり、死亡したりしても、受け取れる給付金や保険金が通常よりも削減される(これを「給付制限」といいます)などがあります。

このような、特別の条件がついた契約のことを「条件付き契約」と呼びます。

どんなときに条件が付く?

詳細は個別の状況や保険会社の判断によって異なりますが、たとえば以下に該当すると、特別条件が付く可能性があります。

【身体上の要因】

・現在、通院中である
・現在、薬を飲んでいる
・現在、妊娠中である
・病気、ケガをしてからあまり年数が経過していない
・最近、健康診断・人間ドックで異常を指摘された
など

【職業上の要因】

・危険を伴う仕事をしている

ただし、病気やケガの状況が重篤であったり、職業上の危険度が高すぎたりする場合には、保険への加入自体を断られることもあります。

なぜ条件が付くの?

保険は「公平性の原則」といって、加入している人が公平に保険料を負担するようなしくみになっています。

病気にかかったりケガをしたりするリスクは年齢や性別、健康状態や職業によって異なります。一般的には、年齢が高いほど、健康状態が悪いほど入院をしたり亡くなったりするリスクは高い、つまり、給付金や保険金を受け取る確率が高くなります。また、レーサーや格闘家、消防士、高所や地下、建設現場で作業をする仕事に就いている方などは、業務中にケガをしたり、仕事上の環境などの影響で病気にかかったりするリスクも高いでしょう。

これらリスクの高い人が、他の人と同額の保険料を支払っていたのでは、リスクの小さい人が、リスクの大きい人のために必要以上の保険料を負担させられてしまいます。これを防ぐために、保険会社は加入者がそれぞれのリスクの大きさに応じた負担をするように、契約者が支払う保険料や受け取る給付金・保険金の額を調整しています。

加入者のリスクの大きさを評価するために用いられるのが「告知」や「診査」です。保険会社はここでの内容からリスクを判断し、その大きさに応じて、(1)通常通り契約を成立させる、(2)条件を付けて契約を成立させる、(3)契約させない、のいずれかを決定します。

保険契約の引受条件
保険契約の引受条件の図

(1)通常通り契約を成立させる(無条件決定)

リスクが小さければ、申込み通りの内容で契約できます。これを「標準体」と呼び、特別な条件なしに契約が成立します。

(2)条件を付けて契約を成立させる(特別条件付き決定)

契約を断るほどでもないものの、身体や健康状態、または従事する職業により、病気・ケガ・死亡など保険事故のリスクが高いとみなされると、条件付きでの契約を提示されます。契約者がその条件を承諾すれば契約が成立しますが、承諾しなければ保険に加入することはできません。

(3)契約延期・契約謝絶(不承諾)

病気・死亡などのリスクが極めて高く、特別条件を付けても契約できないと判断された場合には、一定年数が経過するまで契約を引き受けない「契約延期」や、契約を完全に引き受けない「契約謝絶」とされることもあります。

特別条件ではどんな条件が付く?

特別条件には以下の5種類があります。おもに保険上のリスクの種類によって、どの条件が付くかが異なります。

1.保険料が上乗せされる(特別保険料領収法)

通常の保険料(「普通保険料」といいます)に加えて、危険の内容や程度に応じた「特別保険料」を支払う。

特別保険料領収法
特別保険料領収法の図特別保険料が契約から一定期間のみ上乗せされることもあります。

期限付き特別保険料領収法
期限付き特別保険料領収法

2.本来の年齢よりも高い年齢に適用される保険料を支払う(年増法・追加保険料領収法)

同じ年齢の人に比べてリスクが高い場合、リスクの程度が同じ年齢に適用される保険料を支払う。たとえば、実年齢は40歳でも、一般的な50歳の人と同レベルのリスクがある場合、契約年齢50歳に適用される保険料を支払います。

年増法
年増法の図

3.保険金が低くなる(保険金削減支払い法)

通常の保険金額よりも、保険金額が低く設定される。死亡のリスクが高いと思われる一定期間中に限って適用されることが多い。

保険金削減支払法
保険金削減支払法の図

4.特定の部位に関わる病気は保障しない(特定部位不担保法)

契約時にあらかじめ指定した身体部位については、病気をしても入院・手術給付金を支払わない。

保険のリスクは時間とともに大きくなるもの、小さくなるものがある

告知書に記載した内容や診査で伝えた内容に基づいて、保険会社は「この人に給付金・保険金を支払うリスクがどれくらいあるか?」を判断します。

ただ、リスクの大きさが契約後により大きくなるか、小さくなるかは、病気やケガ、傷害の内容によって異なります。そこで、リスクの変化についても判断します。

保険における危険の種類

種類 疾病の例/職業制限を行う職業 特別条件の主な決定方法
身体的危険 逓増性危険 高血圧、糖尿病、ぜんそく、肝臓病、
心疾患など
特別保険料領収法、
年増法
逓減性危険 胃潰瘍、盲腸、外傷、
妊娠・分娩に伴う異常など
保険金削減支払い法、
期限付き特別保険料領収法、
特定部位不担保法
恒常性危険 両眼視力障害、聴力障害、四肢の障害、
言語障害、咀嚼障害など
特定部位不担保法
環境危険 木材伐出作業者、大手以外の航空機搭乗員、
トラック・タクシー・ダンプ運転手、
競輪・競艇競技者、競馬の騎手、
レーサー、ボクサー、レスラー、高所・地下・水面下作業者など
最高保険金額の制限、
特約付加制限、
特別保険料領収法

1.時間が経つほどリスクが高くなるもの(逓増性危険)

契約から時間が経過すると、病気を発症して入院をしたり、死亡したりするリスクが高まる場合、のちに給付金や保険金を支払う可能性が高くなります。

たとえば糖尿病の持病がある場合、短期間では大きな問題はなくても、長期間経つと合併症が出たり重大な生活習慣病を発症して入院したりする危険性もあります。このため、契約時点では軽度で特に治療の必要がない、またはすでに治っていても、生命保険の統計学上では死亡や入院の確率が高いリスクとみなされます。糖尿病のほか、高血圧やぜんそくも同様に判断されるのが一般的です。

こうした持病がある場合は無条件で契約するのは難しいケースが多いです。条件が付く場合、特別保険料領収法や年増法(追加保険料領収法)などで保険料を上乗せされることがあります。

2.時間が経つほどリスクが低くなるもの(逓減性危険)

契約時点では病気を発症して入院をするリスクがあるものの、時間が経過するにつれリスクが小さくなるものもあります。つまり、時間が経てば給付金や保険金を受け取る確率が下がるものです。胃潰瘍や外傷、妊娠、出産による異常などがあたります。

この場合、通常よりも保険金額が削減される特別条件がつくことがあります。

3.常にリスクがあるもの(恒常性危険)

契約後の経過年数に関らず、常に一定の大きさのリスクがあるものもあります。
たとえば両眼の視力、聴力、手足など障害があたります。この場合、特定部位不担保法など、特定の部位に関わる病気やケガを保障の対象外とされることがあります。

このように、持病や障害の内容によって、特別条件の扱いが異なります。なお、ここで判断されるリスクはあくまでも保険会社が保険金・給付金を支払ううえでのリスクであり、病気やケガの重症度と必ずしも一致するものではありません。自分では大きな問題ではないと思っていても、保険加入では問題になることもあります。

条件を付ける、付けない、また条件の内容を判断する引受基準は会社や商品によって異なりますので、詳しくは加入を検討されている保険会社にご確認ください。

持病があっても入れる「引受基準緩和型保険」と「無選択型保険」

このように、持病や障害があると、通常と同じようには契約できずに条件が付くことがあります。場合によっては保険加入自体ができないこともあります。しかし、健康上の不安がある方こそ備えを十分に用意しておきたいものでしょう。
そのような方のために販売されているのが「引受基準緩和型」や「無選択型」といわれる保険です。

「引受基準緩和型」は、健康に不安を抱えている方を対象に告知項目を簡素化し、引受基準を緩和している保険です。また「無選択型」は、医師の診査や告知書による告知をせずに、誰でも加入できる保険です。

「引受基準緩和型保険」「無選択型保険」より、一般商品の特別条件の方が良い場合も

ただし、個々のケースにより条件は異なりますが、無選択型保険や引受基準緩和型保険は、通常の保険商品に比べて保険料が高く設定されていたり、保障内容が限られていたりします。

持病があっても、健康状態についてより詳細な告知をすることにより、引受基準を緩和していない一般の保険契約できる場合もあります。その場合は、特別条件により特別保険料が付加されても、引受基準緩和型や無選択型の保険料よりも割安になることもあります。
まずは、被保険者の状況を、加入を検討されている会社に伝え、一般の商品で引き受けてもらえる保険料や保障内容の基準を確認し、そのうえで引受基準緩和型や無選択型の保障内容と比較されてはいかがでしょうか。

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本文:CFPファイナンシャルプランナー 加藤梨里